預金者保護法の悪用

預金者保護法の悪用

「北海道新聞」2007 年 12 月 3 日付より。

預金者保護法を悪用して日本郵政公社(現ゆうちょ銀行)から補償金三千万円をだまし取ったとして、札幌中央署は三日までに、詐欺の疑いで、住所不定、無職伊勢伸彦容疑者 (35)=詐欺未遂罪などで起訴済み=を再逮捕し、新たに男二人を逮捕した。

また、同容疑で札幌市内の暴力団組長 (53) ら男二人の逮捕状を取り、行方を追っている。
昨年二月施行の同法を悪用し、実際に被害が確認されたのは道内で初めて。

調べでは、伊勢ら五容疑者は共謀し、暴力団組長が郵便局の口座に約三千万円を貯金した後の二○○五年十一月、偽造カードを作って貯金ほぼ全額を引き出した。
その後、日本郵政公社に「勝手に貯金が引き出された」と虚偽の内容を届け出て、昨年二月に同公社から補償金約三千万円をだまし取った疑い。

同署によると、伊勢容疑者が計画し、組長が資金を用意。
ほかの男らが東京で貯金を引き出すなど役割分担していた。
預金者保護法は、キャッシュカードの偽造や盗難による預金引き出し被害を金融機関が原則補償するよう定めている。

「共同通信」2007 年 12 月 3 日付より。

ゆうちょ銀から 3000 万詐取/ 預金者保護法悪用で逮捕

北海道警、栃木県警合同捜査本部は 3 日までに、預金者保護法を悪用して日本郵政公社(現ゆうちょ銀行)から補償金名目で現金約 3000 万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で住所不定無職伊勢伸彦容疑者 (35) =詐欺未遂罪で起訴=ら 3 人を逮捕した。
札幌・中央署によると、同法の補償制度を悪用した詐欺事件での逮捕は全国初という。
合同捜査本部は、札幌市と栃木県内で起きた同様手口による詐欺未遂事件をこれまでに 3 件摘発。
暴力団組長の男 (53) が主犯格として計 4 件すべてにかかわったとみて行方を追っている。
調べによると、伊勢容疑者らは 2005 年 11 月、東京都内の郵便局で暴力団組長の口座から現金約 3000 万円を事前に用意していた偽造カードで引き出した。
その後、偽造カードでの被害に遭ったように主張し、昨年 2 月に日本郵政公社から補償金として約 3000 万円を受け取り、だまし取った疑い。

「朝日新聞」2008 年 1 月 25 日付より。

偽造カード被害、偽装/自作自演事件相次ぐ

偽造カードや盗難カードで預金を引き出された人を金融機関が補償する「預金者保護法」を悪用し、預金者本人が被害を自作自演して補償金をだまし取る事件が起きている。
北海道では先月までに 4 件の事件を起こした疑いで同一グループの 10 人が逮捕され、首都圏でも逮捕者が出た。
預金者保護の裏をかく犯罪だが、防止策に決め手は無く、さらに広がるおそれもある。

道警札幌中央署などは先月 3 日、約 3000 万円をだまし取ったとして札幌市の男 3 人を詐欺容疑で逮捕した。
05 年 11 月に札幌の郵便局に貯金した後、口座名義人の男は韓国へ。
残ったグループが、あえて作った偽造カードを使い、東京都内で金を引き出したという。
名義人の男は帰国後「旅行中に金が消えた」と申告。
06 年 2 月、全額が補償された。

グループはその後、メンバーを変えながら違う金融機関で 3 回詐欺を試みたが、短期間での多額の出入金を不審に思った銀行側が警察に相談して露見したという。

埼玉県でも 06 年 10 月、男 3 人が詐欺未遂容疑で逮捕された。
1 人が「旅行中、空き巣にカードを盗まれ 250 万円を引き出された」と申告。
別の 1 人が部屋に土足の足跡まで作って空き巣を「演出」していたという。

金融機関が被害の訴えを受けた場合、全国銀行協会のセンターに情報を登録するため、同じ人物が過去にも補償を求めていないか確認することはできる。
だが、例えばグループで犯行のたびに口座名義人を変えれば、発覚しづらくなる。

金融庁によると、偽造、盗難のカード被害は 06 年度で 7481 件あった。
預金者保護法の立法にかかわった喜多英博弁護士(横浜弁護士会)は「表面化してないだけで、自作自演の詐欺は多発している可能性がある。生体認証など、まずは犯罪を成立させない仕組みを金融機関が作ることが大事だ」と話す。