預金者保護法と民法第 478 条
預金者保護法が施行される前は、キャッシュカードが第三者に不正使用された場合に直接該当する法律がなく、民法第 478 条を類推適用して不正使用も有効な出金とされ、預金者に対する補償はありませんでした。
具体的には、約款に以下のような免責規定が盛込まれていたのです。
当行が、カードの電磁的記録によって、支払機または振込機の操作の際に使用されたカードを当行が交付したものとして処理し、入力された暗証と届出の暗証との一致を確認して預金の払戻しをしたうえは、カードまたは暗証につき偽造、変造、盗用その他の事故があっても、そのために生じた損害については、当行および提携先は責任を負いません。
免責規定の有効性については、判例(最ニ判平成 5・7・19 金融・商事判例 944 号 33 頁)で認められていました。
民法第 478 条とは
債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、 過失がなかったときに限り、その効力を有する。
という条文で、「債権の準占有者に対する弁済」を保護しています。
民法第 478 条の類推適用とは、以下の 1 を 2 とみなすことです。
- 金融機関が、キャッシュカードや通帳の持参者に対して預金を払戻す
- 債務者が、債権の準占有者に対して借金を弁済する
このため、預金を取戻すには「金融機関の出金手続に問題があり出金は無効であること」を預金者が立証しなければなりませんでした。
しかし、偽造カードや盗難カードによる不正使用が急増し、諸外国の対応との差が社会問題となり、金融機関の反対を抑えて預金者保護法は成立し、施行に至りました。
通帳の不正使用については未だに民法第 478 条が類推適用されており、今後の法改正が待たれます。
