偽造・盗難カード犯罪の法律上の被害者
偽造・盗難カード犯罪には、4 者が関わっています。
- 預金者 X
- 犯人 Y
- 預金者 X の口座がある銀行 A
- 犯人 Y が預金者 X の預金を引出した銀行 B
もちろん、銀行 A と銀行 B が同一の場合もあります。
ここで、加害者が犯人 X なのは明白です。
そして、普通に考えると「預金者 X が被害者」ですが、「法律上の被害者」は違うのです。
偽造・盗難カードで現金が引出された場合、複数の犯罪が行われています。
(「1, 2, 3 全部」だけでなく、「1 と 3 だけ」「2 と 3 だけ」の場合もあります)
- キャッシュカードの偽造
- キャッシュカードの盗難
- 預金の不正引出(場合によっては不正貸越)
法律では「『キャッシュカードの盗難』の被害者は預金者 X」ですが、「『預金の不正引出』の被害者は銀行 B」になります。
従って、預金者 X は「キャッシュカードの盗難」についての被害届は提出できますが、「預金の不正引出」についての被害届は銀行 B にしか出せません。
しかし、預金者保護法の施行前や、施行後でも対象にならない場合、「預金の不正引出」の実害は預金者 X が被ることになり、「実質上の被害者」は預金者 X です。
銀行 B は「『預金の不正引出』の被害者」ですが、実害がないので被害届を書くことはほとんどありません。
背景には、刑法が偽造・盗難カード犯罪を想定していないということもありますが、預金者保護法施行前の銀行が、預金者の置かれた状況を考慮することは、ほとんどありませんでした。
しかし、預金者保護法施行により、偽造・盗難カード犯罪の被害者は以下のようになりました。
ここで、偽造キャッシュカード犯罪の被害者は金融機関(銀行 B)のままですが、預金者の重過失を立証できなければ全額補償する義務があります。
また、偽造キャッシュカード犯罪の被害届は、金融機関(銀行 B)が提出します。
| カードの種類 | 犯罪の種類 | 被害者 |
|---|---|---|
| キャッシュカード | 偽造 | 金融機関(銀行 B) |
| 盗難・紛失 | 預金者 | |
| クレジットカード | 偽造 | カード保有者 |
| 盗難・紛失 |
なお、偽造・盗難クレジットカード犯罪の被害者はカード保有者ですが、保険料を年会費の一部としてカード保有者が支払っているので、被害は補償されます。
