偽造カードと盗難カードの扱いの差は?

偽造カードと盗難カードの扱いの差は?

預金者保護法と民法第 478 条で述べたように、預金者保護法が施行される前は、キャッシュカードが第三者に不正使用された場合に直接該当する法律がなく、民法第 478 条を類推適用して不正使用も有効な出金とされ、預金者に対する補償はありませんでした。

偽造カードと盗難カードによる不正使用では、前者のカードは偽造されたものであるのに対し、後者は真正なものです。

金融機関は、真正カードであれば無権利者による不正使用であることを見抜くことは難しいため、預金者保護法施行前は民法第 478 条に基づいて、「善意かつ無過失の場合は責任を免れる」と規定していました。

一方の偽造カードについては、「預金者に管理責任上の落ち度がなかったことを証明できた場合には、金融機関が責任を負うこともありうる」としていましたが、実際に証明を行うことは不可能に近く、金融機関が偽造カードによる不正使用の負担を補償したことはありませんでした。

しかし、スキミングによるキャッシュカードの偽造が社会問題になり、ゴルフ場などのロッカーから盗難・偽造が大きく報じられると、「預金者に管理責任上の落ち度がなかった」として、預金者保護法では偽造カードについて民法第 478 条を類推適用しない(原則として全額補償する)ことになりました。

盗難カードについては、預金者保護法施行後も類推適用されます(下表の「過失あり」)が、金融機関が預金者の過失を立証しなければ補償責任は免れないので、実質的な違いはあまりありません。

預金者保護法の補償額
被害者 偽造の補償額 盗難の補償額
過失なし 100 % 100 %
過失あり 75 %
重過失あり 0 % 0 %
偽造・盗難カード犯罪の被害者
カードの種類 犯罪の種類 被害者
キャッシュカード 偽造 金融機関
盗難・紛失 預金者
クレジットカード 偽造 カード保有者
盗難・紛失